寒い季節に限らず、じっくり半身浴をするのは気持ちがいいものです。
肩まですっぽり湯船に長時間浸かることは健康を損ねる場合もあるということは、もうすでに多くの人たちが知っていることと思います。そして半身浴が体に良いとされていることも。
「ぬるめのお湯にゆっくり浸かってじっくり汗を流す」
言葉で書くと心地よさそうですが、実はこれ本当の冷え性に人には効果がないのだそう。冷えとりで有名な医師・石原新菜さんによれば、冷え性の人は「ぬるま湯半身浴」では温まらないのだそう。
まずは熱めのお湯で、体が芯から温まるという感覚を知ることから始めてみましょう。
冷えとり健康法で推奨される半身浴の温度
冷えとり健康法という冷え性改善の方法があります。冷えとり専用の靴下を何枚か重ね履きをするなどして、体から冷えをとるという健康法です。
冷えとり健康法では、靴下の重ね履きの他にも「半身浴」や「少食」など、体から冷えをとるとされる方法がいくつかあります。靴下の重ね履きばかりに注目が集まりがちですが、実は他のことに関してはいたって当たり前のことを続けるだけのこと。
忙しいからついシャワーで済ませがちな毎日の入浴も、ぬるめのお湯でみぞおちから下を湯船につけ、時間が許す限り入ることで体が芯から温まるとされています。
冷えとり健康法で推奨される半身浴の温度は37~38℃。ご家庭のお風呂場の事情や環境によってもさまざまでしょうが、目安としてこの温度と言われています。
ただ、季節によってはその温度では寒いと感じる時期もあるし、各家庭によって設定温度と実際のお湯の温度は若干誤差があると考えられます。
それなのにその誤差を考えず、数字ばかりに目を向けてしまうと大変。何時間入っていても体が温まるどころか、逆に冷え切ってしまうこともあるのです。
温度はあくまでも目安として、自分が心地よいと感じる温度が一番でしょう。
なぜ低めの温度が半身浴で勧められる?
ところで半身浴ではなぜ低めの温度が推奨されているのでしょうか。
これはいろいろ理由があると思いますが、一つは高い温度で入浴することは体に負担がかかるからだと思われます。最近では「ヒートショックプロテイン入浴法」という熱めのお湯で入浴すると美容や健康にも期待できるという入浴法が流行していますが、現時点ではまだ生活に根付いているというほどではありません。
冷えとり半身浴の場合、ヒートショッププロテイン入浴法のような高い温度のお湯につかると、体の表面ばかり温まってしまい、体の内部は冷えたままでお風呂から上がることになってしまうことを懸念しているのです。
低い温度で入浴すれば、じっくりお湯につかることもでき、じわじわと体の内部にまで温まり、その結果冷えが改善できるという考え方から37~8℃という温度になったのです。
また、ぬるい温度でゆったりと入浴した場合、副交感神経の働きが活発になることでリラックス効果を得ることが出来ます。しかし、寒いと感じるままではリラックスどころかストレスを招いてしまうことも。
あくまでも自分が心地よいと感じられる温度を優先として、数字は目安と考えるのがいいでしょう。
体が芯から温まった目安はプチプチ出てきた汗
熱いお湯で入浴すると、副交感神経が働かずにリラックス効果は得にくいかもしれません。しかし、「お風呂=リラックスする場所」と考えなくてもいいのかも。
というのも石原新菜先生曰く、「熱いお風呂で体を十分温めた後、ストレッチ等で体をほぐしたり腹式呼吸をすれば、リラックス効果は十分に得られる」とのこと。
42~43℃程度で自分がストレスを感じずに入れるような温度を探し、しっかりと体を温めた後でクールダウンをかねストレッチなどをすることで、短い入浴時間でも体を温め、なおかつリラックス効果を得ることが出来るのです。
石原新菜先生がおっしゃるには、体が十分温まった目安としては「汗がプチプチ出てきたかどうか」で判断できるのだそうです。
汗の出始める時間は人によって差があるでしょうが、汗が出てきたということは体が温まった証拠。これを目安にすればお風呂から出るタイミングがわかりやすいかもしれませんね。
自分の体の声に正直に
冷え性を改善したいがために、低めの温度でじっくり半身浴・・・と思っても、長年冷え性に悩んできた人にとってぬるめの温度のお湯に何時間浸かろうが汗が出ることはありません。
本に書いてある温度の通りにしたい気持ちはわかりますが、まずは自分の体を汗が出やすい体質に変えていくためにも、高めの温度で入浴したほうが効果は出やすいかなと感じます。
実際、私も37℃のお湯に入れば入るほど体が冷えていく・・・という経験をしています。体が変化していけばこの温度でも汗だくになるんだ・・・と自分に言い聞かせながら入っていました。
しかし、経験上断言できます。石原先生の言う通り、冷え性の人が低めの温度で半身浴を続けても、体を温めることはできません。寒い時期は特に、です。
まずは自分の気持ちを優先し、本に書いてある温度はいったん置いておいて、「気持ちいい!」「温かい!」という感覚を磨いていきましょう。