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スイッチを入れると電気がつく幸せに気づく

投稿日:2016/03/11 更新日:

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風化という言葉があります。
どちらかといえばあまり良い意味では使われていなと思いますが、時には月日が経ち辛い記憶が薄れていくことで、気持ちが楽になる場合も多々あります。

 

しかし多くの日本人にとって、記憶が多少薄れることはあってもこの日を忘れることはないと思います。あれから5年、今も「普通に暮らせることの幸せ」をかみしめる毎日です。

当たり前だと思わない思考のクセづけ

ここのところテレビをつけてもラジオをつけても、日を追うごとに震災の話題が多くなってきました。しかし私には3月11日が近くなると思い出すというより、常に頭のどこかにあるからこそ、こうして映像や言葉で見たり聞いたりすることがとても辛く感じます。

 

逆に最近は震災のニュースが始まるとチャンネルを変えたり、もしくはテレビやラジオを消したりと、地震に関するニュースをシャットアウトするようになりました。

 

こうして改めて見せられなくても常に心のどこかにあるので、苦しい映像を見たくないのです。

 

実際に災害にあったわけでもない私がこうなのですから・・・被害にあわれた方たちの心を思うと、5年という月日には何の意味もないことなのかもしれません。

 

幸い、私の住んでいる場所では地震直後に電気が通じなくなっただけで、その日の夜には復活したし、水道も止まることはなく生活に不便はありませんでした。

 

しかしその日、旦那さんの提案でスーパーに行って食料品を買い置きしておこうと夕方過ぎに出かけた先で見たあの光景はショッキングなものでした。

 

ミネラルウォーターやトイレットペーパー・ティッシュペーパー、電池などはあらかた買い漁られ、残り少ない棚から奪うようになくなっていきました。

 

何も充填されていないからっぽの棚は、子供の頃教科書に載っていた「オイルショック」の時の光景そのもの。まさかこの時代にあの写真と同じ光景を見ることになるとは。

 

私たちなどはかなり出遅れたようで、機転が利く人たちは地震直後にすぐに車にガソリンを入れ、水や紙類の確保をしていた様子。

 

どのレジにも人が長い列をなし、その異様な様子にしばし呆然としたことをよく覚えています。結局何も買わず、ショックを受けただけで帰宅したのでした。

 

その後しばらくしてから「計画停電」という措置があり、地域によって割り当てられた時間帯は電気が使えないという、これも生まれてから初めての経験をしました。

 

わかっているのについ癖で電気のスイッチを入れてしまうこともしょっちゅうで、そのたびに
「あぁ、そうだった・・・」
と、これまで当たり前のように電気を使ってきた生活が、いかに便利なことだったのかということを痛感したのです。

 

ただ、当時子供はまだ小さかったし、子供を不安にさせてはいけないと、電気がない生活を遊び感覚で楽しませようと一生懸命でした。

 

こたつには家にある湯たんぽを総動員させ停電の前にお湯を沸かして入れておき、お湯の熱でふんわりと温まるようにセット。

 

普段は使っていない分厚い毛布を出してくると子供も大喜びしました。

 

電気はろうそくを使うと子供が倒したら大変なのでキャンプの時に使っていたランタンで。
これもまた子供にとってはとても楽しいことだったようで、幸いにも怖い記憶を残さないで済みました。

 

しかし、誰あろうそんな私が一番「恐怖」という記憶を刻んでしまい、今でもたまに胸が苦しくなることもあるのです。

 

そうはいっても、震源地からは離れていた場所だし、放射能の汚染に関してはよくわからない部分もあるけれど、屋根のついた自分の家にいられるし、被災した方たちに比べればどんなにか自分の現在が恵まれているか、比べようもありません。

 

震災のニュースは見ないけれど、いつも記憶の中に存在しています。風化させたくてもできるものではありません。

 

スイッチを押すたびに、蛇口をひねるたびに、温かいこたつに足を入れるたびに、清潔な寝具で眠れるたびに、あの日のことや未だに大変な方たちのことが浮かびます。

 

私にできることは忘れないでいることです。そして日常に感謝して暮らすこと。
あの震災で得られた自分への戒めです。

 

ただ思うのは、被災した方たちも決して前を向いていないのではないということ。むしろあの前向きさやパワーにはこちらが元気をもらてるほどです。

 

可哀想、と思うのはエゴ。そうではなく、逆にあのパワーや失ったところから始めようという勇気を分けてもらっている気がします。ありがとう、と伝えたいです。

 

震災から5年、10年、15年・・・
人の記憶ですからそれは必ず薄れていくもの。これは仕方ありません。

 

ただ、起きたことを決して忘れてはならない、被災をしていない私たちが唯一できることかもしれません。忘れないことで、きっとそれが何かに繋がると思うのです。

 


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